2016年4月、ヤフーオークションに千葉市内の住宅が破格の値段で出品され大きな話題を呼んだ。
閑静な場所に建つ延べ床面積が308.1平米、10LDKの豪邸。新築の販売価格は軽く1億円を超えていたこの物件が、なんと見積もり価格756万円で売り出されたのだ。
当然ながら事情がある。実はこの家2014年1月に持ち主の男性が殺害されてしまい、売り主の千葉市は「殺人事件が発生した物件です」という説明を付けてオークションに出品。結果、約1千万で落札されたのだ。
2番目の入居者には告知義務なし?
自殺・他殺・火災による焼死・不審死・事故死など、人の死亡に関わる事件があった建物を、俗に「事故物件」「ワケあり物件」などと呼ぶ。
価格は周囲の3〜5割安が相場だが、売り主は買い主や借り主に対し、ワケありの内容を告知することが義務付けられているのだが、ここには大きな落とし穴がある。
たとえば、自殺者が出た賃貸マンションの場合、そのあと新たな賃借人が居住すれば特別な事情がない限り、新たな居住者がその物件で一定期間生活をすることで、入居者の心理的嫌悪感の影響がかなり薄れると判断され、2番目の入居者には告知する義務がないのだ。
※正確には、個別具体的な事情を総合的に考慮して判断するという不明確な基準しかない。
不動産会社にはさまざまな抜け道がある
不動産会社のなかにはさまざまな抜け道を探す業者も存在する。
事件後、意図的に知り合いや社員などの第三者に住まわせたり、買わせるなどの対策をしたあと、その後告知なしで何事もなかったように販売するのだ。
建物を取り壊して告知なしで土地として販売することや、土地の盛り土をごっそり取り替えて新規分譲として販売することもある。
現在は、こういった手法は違法とされているが、発覚しづらいのも事実なので、「入居後にご近所さんが教えてくれた」とならないよう注意が必要だ。入居後に事実を知っても後の祭りである。