2018年に厚生労働省から発表された「平成29年(2017年)人口動態統計」によれば、日本人の死因原因で最も多いのは男女ともにガンであり、1981年以降からずっと第1位で全体の27.9%を占めている。
また、全国健康保険協会のホームページには「日本の2人に1人がかんにかかる」と記載されており、ガン保険のテレビCMでも同じフレーズがうたわれるようになった。
90歳や100歳まで生きる人全てを合わせて2人に1人
テレビCMで「2人に1人はガンになる」というフレーズを見てからか、ガン保険の加入者は年々増えており、社団法人生命保険協会の報告では2008年に1千860万件だった契約数は2017年で2千446万件に増加し今後も増加が予想されている。
しかし、「2人に1人はガン」は実際のところ本当なのだろうか?
国立がん研究センターがん対策情報センターのデータによると、生涯でガンと診断される確率は男性で62%、女性で46%。これが「日本人の2人に1人がガンになる」という根拠なのだが、30歳男性が10年後の40歳までにガンと診断される確率は0.5%で、20年後の50歳でも2%、30年後の60歳でも7%であると示している。
つまり、ガンにかかる割合は60歳でも約14人に1人にすぎず、90歳や100歳まで生きる全ての人を合わせてようやく「2人に1人」となるのだ。
この現実を考えると、若い時期から保険をかける必要性に疑問が湧く。
98%の人はリターンがない計算になる
前述のとおり、40歳の男性が10年後までガンと診断される確率は2%。つまり、40歳で保険に入っても98%はリターンがない可能性が高い。
さらに、この数字は厚生労働省の「平成24年簡易生命表」から算出した40歳男性の10年後死亡率(1.8%)とほぼ同じなのだ。ということは、40歳の男性が10年以内にガンになった場合に診断給付金が支払われる「ガン保険」と、同額の保険金が支払われる「一般的な定期保険」の保険料は、同額であるべきにも関わらず、ガン保険のほうが定期保険の2倍以上に設定されているケースが多い。
そして、ガン保険の料金が高いのは診断技術の進化などの不確実性があるかららしい。保険にはさまざまな意見があるが、カラクリを紐解くと納得できるかもしれない。